第27章 君が描いた未来
『もういいんじゃないか』
『雅紀もきっと許してくれる』
.........
智と笑って話す潤を、かずは顎でしゃくって見せた。
黙り込む俺に、
「もうさ。十分だろ~。今度は、翔と潤が幸せになる番だよ...雅紀はきっと、それを願ってる...
俺はそう思うよ...」
かず...
何も聞かなくても、一緒に暮らしてる俺達が、そういう関係じゃないって、ちゃんと分かってるんだ。
「なっ!」
そう肩を叩いてにっこり笑うかずに、俺は小さく頷いた。
二人と別れて、俺達はマンションに戻ってきた。
何だか長い一日だったな...
「翔、お風呂入れたから、入っちゃえよ」
「あ、うん...ありがとな」
風呂に向かう振りで、そっと潤を振り返ると、
潤はリビングで片付けをしていた。
風呂を出て、カーテンを閉めようとすると、
月があんまり綺麗で、
俺はベランダに出てみた。
冬にしては温かいとはいえ、流石に寒いので、
部屋から毛布を持った来た。
頭から被ってカウチに腰を下ろし、大きな月を見ていた。
「何見てるの?...はい、ホットワイン...」
潤がグラスを二つ持って部屋から出て来た。
手渡された耐熱のグラスからは湯気が出ていて、口に入れると身体の芯に流れ込んだ気がした。
「あ~、うめっ..」
「冷えちゃうよ...」
潤は笑っている。
「....潤、こっち来いよ...」
俺が毛布を片方捲って横に来るように言うと、潤は驚いた顔をした。
「ほら!早く、寒いだろ~?」
「あ、う、うん...」
戸惑いながらも、潤は俺の開いた毛布の中に入ってきた。
「温ったけぇ~...」
横にくっ付いた潤の身体を抱き締めると、潤からは俺と同じボディーソープの香りがした。