第27章 君が描いた未来
【 翔side 】
夕方、東京に戻って予約した店に向かった。
個室に案内されると、懐かしい顔が出迎えてくれた。
「お帰り~」
「お疲れ様!寒かったでしょ~?」
笑顔で俺と潤を迎えてくれたのは、かずと智。
雅紀の法要をしない代わりに、
雅紀を偲んで飲もうという話になり、潤が声を掛けてくれたんだ。
「俺達も何だかんだ、もう付き合い長いよね~」
「えっと~、30年?だよね~幼稚園のときだから。」
かずと智が二人で話している。
潤はそれをニコニコしながら聞いている。
30年か...
歴史、何ていうレベルじゃないくらい、一緒に居るんだな~...
まあ、ずっとくっ付いていた訳じゃないし、
会わない時間もあったけど、なんだかんだ、着かず離れずここに居る気がする。
かずと智は相変わらず一緒に暮らしている。
恋人同士とか、夫婦っていうより、もはや漫才コンビかな?っていう空気感だ。
まあ、仲が良いのは、上手くいってるっていうことなんだろうね~...
俺達は酒を交わしながら、昔話に花を咲かせた。
昔話って、どうしてこんなに笑えるんだろう?
俺達は、子どもの頃の、あんなことや、こんなことについて、時間を忘れて語り合った。
時には笑って、涙を流しながら...
あっという間に時間は過ぎた。
「どうする~?二次会でも行く?」
俺が3人に聞くと、智が、
「長距離移動で疲れてるでしょ?今日は早く帰って休めよ...」
と言った。
「うん...じゃあ、また今度な」
そう言う俺に、かずが、
「もういいんじゃないか?」
って言って来た。
キョトンとする俺に、靴を履きながら、
「雅紀もきっと許してくれるよ。翔が幸せになること」
と...
俺は無言でかずの横顔を見つめた。