• テキストサイズ

Green~君といた季節~【気象系BL】

第5章 大人になるということ



しばらくして、中から看護師さんが出て来て、

「院長、おめでとうございます。男の子です。」

「大丈夫だったの?」

食ってかかるような俺に、看護師さんは優しく、

「大丈夫ですよ。お母さんも赤ちゃんも、
元気です...先に赤ちゃんが出てきますから..」

看護師さんの言葉が終わるのを待っていたように、中から、小さな透明の箱に入った赤ちゃんが出てきた。

それは、思っていたよりもずっとずっと
小さくて、動いているのが
不思議なくらいだった。

「父さん///」
心配で、父さんの顔を見ると、
急に医者の顔になった父さんは、

「バイタルは?」

「安定しています。お元気です。」

「そうか、ありがとう。」


俺は箱の中の小さな命を見つめていた。

.....俺の...兄弟...

...俺の...弟...


何て小さい手なんだ...

無意識に横にある穴から、そっと手を入れた。

すると、その小さな手が、細い指が、
俺の指をキュッと握った。

その力強さに驚き、

次の瞬間、喉の奥がグッと詰まって、
息が出来ないくらいに、
感動した。

こんなに小さいのに、
懸命に生きようとしている、
その生命の尊さと、美しさを感じて、
震えるほど感動した。

そして、この小さい手を、命を、
俺がしっかり守りたい、そう思った。


12歳離れて産まれた、
この世でたった一人の俺の兄弟...

何があっても守ってやりたい、
って、そう思った。

そんな俺の肩に、父さんがそっと手を乗せた。

俺がゆっくりと顔を上げると、
父さんは俺の顔を見て、何も言わずに小さく頷いた。



/ 543ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp