第27章 君が描いた未来
「潤...もう着くよ...」
「え...あぁ、俺寝ちゃったんだ...」
「疲れてるんだよ」
1年ぶりの信州...
駅の横にある店で、予約していたレンタカーを借りて、俺達は安曇野へ向かった。
雅紀が眠っている、あの寺へ...
車から見える景色は、あの日と変わらない。
去年来たときは、雪景色だったから、別世界のようだったけど、三年忌の今日は、本当に錯覚するくらいに、あの日と同じだった。
「花屋で花買ってくよね?」
運転する潤も、道を覚えていてくれる。
「うん...そうだね」
道沿いにある小さな花屋『フラワーショップひらが』に入ると、去年のお姉さんが出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ~」
「お墓詣りに...お花を」
「はい...どんなお花がいいですか~?
一般的にはまあ、菊とかですけど...」
俺はふと、バケツの中にある、薄いグリーンの花が目が止まった。
「これは...?」
「ああ、それはガーベラです。品種改良された種類で、緑色が綺麗ですよね~」
......その花が、何となく雅紀のイメージと被る気がして、その花をメインで花束を作ってもらった。
「仏前に、こんな花で大丈夫でしょうか?」
するとお姉さんは、
「お墓詣りの花に決まりはないので、何でもいいんですよ~。生前、故人が好きだった花を...と言って、真っ赤なバラや、ヒマワリを買われる方もいますよ」
「そうですか...よかった..」
するとお姉さんは、
「お客さんたち、去年も見えましたよね?」
花を包みながらそう言った。
「よく覚えてますね~」
驚く俺に、お姉さんは、
「凄いイケメンの二人連れなので、印象的でした...」
そう笑った。
「ありがと」
俺と潤も目を見合わせて笑った。