第27章 君が描いた未来
俺達は、メトロで新宿駅を目指した。
時間のロスも考えて、あずさで行くことにした。
「松本からはレンタカー借りてるから...」
「おう。流石、手回しがいいな~」
新宿駅、10時ちょうど発の『スーパーあずさ11号』
12時半には松本につく予定だ。
日曜日だけど、電車はそんなに混んではいない。
もっとも、グリーン車だからなのか?
電車は定刻通りに発車した。
「着くまで寝てていいよ~」
潤はそう言ってくれたけど、俺は、
「大丈夫だよ。」
そう答えて、窓から外の景色を眺めた。
どんどん移り変わっていく車窓からの景色...
懐かしいな...
あれから3年が過ぎた...
雅紀を送った、あの日...
そう。
今日は雅紀の命日。
あの日も、こんな風に、冬にしては温かい日差しと、
青い空が広がっていた...
......いつの間にか眠ってしまっていた。
目を覚ました時は長いトンネルの中で、
俺は潤の肩に凭れて眠っていた。
潤も寝ているみたいだったから、そのままにして窓に映る自分と、潤を見つめた。
潤は本当によくやってくれる。
雅紀が死んで直ぐに、自分の仕事を辞め、うち病院の事務をしてくれるようになっていた。
いつの間にか医療事務の資格も取っていて。
今ではもう、うちの病院になくてはならない人になっている...
病院だけじゃなくて...
俺にとっても...
雅紀が亡くなった一週間後に、友人たちを集めて、お別れの会をした。
まあ、簡単な食事会で、雅紀を偲んで、思い出話でもしようという会だったんだけど。
そこに参加してくれた潤は、
俺を送って来てくれ、そのまま、マンションに居付いて、一緒に暮らすようになった。
でも、それは、
雅紀の遺志だった。