第27章 君が描いた未来
「顔洗ってきて~!」
「うん...」
洗面所の鏡に写った俺は、やっぱちょっと疲れた顔で、
それよりも...
「やっべ、ほんとに凄い寝癖...風呂入る時間あるかな~?」
ダイニングに行くと、潤が選んできたコーヒーの、いい香りがした。
「片付け楽だから、サンドイッチにしちゃったけど、良かった~?」
「うん、ありがと。いつも悪いね~。
風呂入ってる時間あるかな?」
「え~?いいけど、ダッシュだよ!!」
「了解!」
俺は潤の作った玉子サンドを頬張って、新聞を捲った。
「あ~、うめっ!」
「ホントに~?良かった...玉子、出し巻きにしてみたんだ~。この間テレビでやってたやつ🎵」
「潤の作るものは、どれもみんな美味しいよ。
いつもありがとね...」
「翔...」
最後のひと口をコーヒーで流し込んで、
俺は風呂場に直行した。
風呂はもう入れてあったから、
急いでパジャマを脱いで湯船に飛び込んだ。
頭まで全部浸かって、顔だけ出すと、
世の中の音が全て遮断され、
ひとりの世界になる...
無の...世界...
何も考えず、お湯の中にいる時間が、
落ち着くんだ...
潤は、母親の胎内に戻った感じがするからじゃないか?って、そう言って笑うけど...
胎内ってさ...
いったい、いつの話だよ...
胎内の記憶が残ってるのって、
せいぜい3歳くらいまでっていうじゃんか~
俺その何倍になったんだろう~?
もう、計算もできないくらいに..
「翔!!何時まで入ってるの~?早く出ないと、遅くなるじゃん!」
「は~い///」
俺は大慌てで風呂から出て、頭を簡単に乾かしてから着替えた。
潤が用意してくれていた、白いセーターとスラックス...
急いで出て行くと、
「そんな濡れた髪じゃ風邪ひくよ!ほら、座って!!」
結局、潤が乾かしてくれた。
......俺の母ちゃんかよ///