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Green~君といた季節~【気象系BL】

第27章 君が描いた未来



少し歩くと、背の高い木々が途切れ、広い原っぱのような場所に出た。

翔と来た夏のあの日は、緑の草が風に揺れている山あいの草原だった。

今は、冬枯れの草が足元に絡みついてくる。


......


星が...
降り注ぐ...

180度の大パノラマ一面に、数え切れない星の海が...『よく来たね』と....
『久しぶりだね』...そう言っているみたいだ。


言葉が出ない。

どんな感動の言葉を紡いでも、
数多の星が降り注ぐこの場所では、陳腐にしか聞こえないだろう。

「ねえ、ここに座ろう」

翔は自分の着ていたコートを枯草の上に敷いて、俺にそこに座れと言った。

「ダメだよ、汚れちゃうじゃん..」

「いいから、ほら、おいで」

翔は先に座って俺に手を伸ばした。


翔に凭れて、また空を仰ぎ見た。

星のカーテンに包まれて翔の体温を感じている。
真冬の夜なのに、不思議なくらいに温かくて...

「...雅紀、もっと凭れていいよ」
「うん...」


翔の優しさが嬉しくて...
側に居られることが幸せで...


......でも、この時間には限りがある。
しかも、その時は、もうすぐそこに迫っている。


覚悟していたはずなのに。

失うんだって...
分かっているはずなのに...

どうして、まだこんなに悲しくなるんだろう...

諦めていたのに...
こうして居ると、翔が欲しくなる。

離れるなんて嫌だって...心が叫びそうになる。


......涙が濡れて頬を伝った。


そんな俺の髪を撫でていた翔が、俺を抱き寄せて言った。

「雅紀...ホントは...離したくないんだ...」

「翔///」


あの夏の日の俺は、信じてた...
翔との未来を。

ずっと側にいられるって、疑いもしなかったのに...


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