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Green~君といた季節~【気象系BL】

第5章 大人になるということ



季節は過ぎ、夏から秋になろうとしていた。

あれ以来、三宅先輩たちも、
俺にかまってこなくなった。

自分にも後ろめたいところがあったのか、
それともただ単に飽きただけなのか、

まあ、俺としては、ありがたいことだった。


その日は、映画同好会に出て、
帰り支度をしながら、携帯を見ると、
父からメールが。

『母さんが破水して病院に来た。
お前も後から来なさい』

...えっ?破水って?
予定日まで、まだ1ヶ月以上あるのに...

携帯を持ったまま俺が固まっていると、

斗真が

「翔、どうした?何かあったの?」
と聞いてきた。

俺が、メールの内容を話すと、

「急いで、病院行けよ!お前んとこだろ?
俺の自転車貸してやるから!」

「でも...」

斗真「早く行け!!」

翔「悪い、じゃあ、借りるよ。
ありがとう、斗真」

「気を付けて行けよ!」

斗真の声を背中で聞いて、俺は走り出していた。


......赤ちゃんが、産まれるの?
母さんは、大丈夫なの??

破水しても、平気なの??


俺は必死に自転車のペダルを踏んだ。
冷静になったら、タクシーでもなんでもよかったのに、この時はもう、ただひたすら急いで病院に向かうことしか考えてなかった。


...もし、赤ちゃんに、なんかあったら...

......母さんに、もしものことがあったら...

次から次へと湧き上がってくる不安を、
必死に振り払いながら、
俺は夢中で自転車を走らせた。



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