第26章 未来への地図
『雅紀は、病院名はどうしても言えないと..最後まで頑なに言わなかった...
ただ、お前との思い出があると、そう言っていた。終焉を迎えるには最高の場所かもしれない、と。』
...俺との、思い出が...?
『翔、彼は最後まで笑顔だったよ。お前とのことを認めてもらって嬉しかったと...
翔と過ごせて幸せだった、そう笑っていたよ...』
/////雅紀...///
まだだ。
俺の中ではまだ過去形なんかじゃないんだ。
勝手に一人で終わらせるつもりなら、そう簡単にはいかないんだよ////
...カッコつけやがって/////
喉が詰まる....
声が、でない。
雅紀...
雅紀......
雅紀////
泣いたらダメだ。
泣いてる暇なんかない!
雅紀...、お前がどこに隠れても、必ずお前にたどり着ける。
そうだろう?
だって俺たちは、ふたりでひとつなんだ。
待ってて...雅紀。
きっと、またこの腕に、抱き締めるから。
その翌日、朝早くから病院に行き、
現場のスタッフに、休むことを告げ、大急ぎで引き継ぐべき事を伝える。
「悪いな、菊池。お前に負担をかける」
後輩に頭を下げると、彼は、
「大丈夫です。任せてください!翔さん、全然休んでないじゃないですか?
これを期にゆっくりしてきてください!」
「...菊池..」
後輩の優しさが胸に染みる。
俺は、ドクターやナースたちスタッフに、必要なことは全て伝え、
11時近くになってやっと病院を出ることが出来た。
家に帰って、出掛ける準備をしようと思っていた俺は、玄関で思いがけない人にぶつかりそうになった。
「あっ、すみません..えっ?」
「あ、翔、丁度良かった!会いに来たんだよ~」
智は、笑っていた。