第26章 未来への地図
「夜分すみません...あの、雅紀...相葉は先生に診てもらってるんですよね?」
「あ、何かさ、専門の病院を受診するって!俺のところでは、ちゃんと検査させてくれなかったぞ~」
...検査を受けていない!?
いったい...雅紀はどこの病院に行ってたんだ?
「あ、そうだ...」
俺は、雅紀の部屋の戸を大きく開けた。
......何だよ、これ??
そこは、雅紀の持ち物のほとんどが持ち出されてあった。
...何だよ...これ...いつから...?
1日で片付けたとは思えない。
そう言えば俺、雅紀の部屋にも、このところ入っていない。
だから、その変化にさえ、気付けなかったんだ。
......雅紀、どこ行ったんだ?
俺は、共通の友人以外、雅紀の友達の連絡先を知らない。
どこかに手帳でも残っていればと、デスクの引き出しを、片っ端から開けたけど。
どれもからっぽで...
そんな手がかりさえも残っちゃいない...
クローゼットを両側に開けると、その隅に入っていたシルバーのキャリーケースが無くなっていた。
でも、その横の雅紀の服は、殆どが残されていた。
出掛けるための服は...
必要ないって?そいうことか...
万に一縷の望みを繋ぐため、俺は共通の友人に、片っ端から電話をかけた。
......雅紀。
...雅紀...
具合が悪いのを、俺に隠して...平気なふりしてたのか??
『相葉~?そう言えばこのところ会ってないな~?』
『相葉?相葉がどうしたの~?』
『相葉そう言えば少し痩せたなって思ってたんだ~』
......そう。
雅紀は最近痩せていた。
どうしてそれを突き詰めようとしなかったのか?
自分の恋人の変化に、一番に気付かなきゃいけない筈だったのに…