第26章 未来への地図
検査の予約時間の30分前に病院に着いた。
入り口で風間が待っていてくれて、手を振って迎えてくれた。
「ありがとう...仕事中じゃないの?」
「今日は明けなんだ...案内するよ。」
「うん...悪いね...」
「何言ってんだよ~、水臭い..」
風間が変わらない笑顔を俺に向ける。
今はそれがありがたい。
何も言わなくても、俺の気持ちを酌んでくれる旧友の優しさが、今の俺には嬉しい。
「こっちだよ...俺も一緒についてるよ」
「えっ?いや、いいって。お前夜勤明けで、疲れてるだろ?子どもじゃないんだから、ひとりで行けるって!」
ムキになって言う俺を、笑いながら、
「分かった分かった、最初だけな!」
そう言って、俺を中待ち合いまで連れていった。
「...相葉さん、どうぞ」
中から声が掛かり、俺は診察室に入っていった。
「初めまして、相葉くん、風間の友人だって~?
俺は、循環器内科の長瀬です。よろしく!!」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします。」
見た目は少し強面の長瀬医師は、とても丁寧に俺の話を聞いてくれた。
「...はい、分かりました..っと。今から必要と思う検査をするけど、リラックスして受けていいから...」
「...ハイ..」
長瀬先生は、ナースにてきぱきと指示を出した。
「じゃ、相葉さん、行きましょうか?」
「...ハイ」
それから俺は、一般的な検査内容に喀痰細胞診や、MRIなど、細かな検査をすべて行った。
その全てに、風間は付き添ってくれた。
もう帰ってもいいから、と何度も言ったけど、本当は泣きたくなるくらいに心強かったんだ。
夜、病室で横になっていると、翔からLINEが入った。
学会での報告は上手くいったと...
『よっかたね!流石、翔!お疲れ様』
そう送ると、
『今から飲みに行くから、今夜は連絡しないよ!
じゃ、またね』
......俺はいつまでも、液晶の画面を見つめていた。