第26章 未来への地図
風間とは時々連絡は取っていたけど、
この頃は忙しくて、ぜんぜん会ってなかった。
......こんな時間、電話に出るかな~?
風間は、大学病院を辞めて、地元の病院に勤務していた。
ここからは少し遠いけど、海に面した、環境のいい、大きな病院だった。
呼び出し音が無情に響いているだけ。
そりゃそうだ。
仕事中に決まってるよな...
切ろうとしたその時、
『相葉~?』
あ、出た!
「風間!」
『どうしたんだよ、こんな時間に?』
懐かしい旧友の声に、何でだか、泣きそうになる。
「ごめんね~、仕事中だったよね?」
『いや、今日夜勤明けで家にいた...』
そっか。
風間も同じだったんだ...
それだけで、何だか嬉しかった。
「そっか...」
何て言ったらいいか、言葉を探していると、
『なんか、あったの?』
察しのいい風間の方から聞いてきた。
俺は思い切って、最近の自分の体調と、今日の検査のことを風間に話した。
翔には知られたくないってことも...
『分かったよ。俺んとこで精密検査受けてみるといいよ。出来るだけ早い方がいいよね~?
いつなら来れそう?出来れば泊りで一泊...』
...泊りで...
そう言えば、丁度翔が、今週の金曜から3日間、福岡での学会に出席することになっていた。
「金曜日から、なら...」
『オッケイ!その日に検査入院できるようにしとくよ。今の病院のことは伏せとくから、櫻井に情報が入ることもないと思うよ~』
「何から何まで、悪いな...」
『何言ってんだよ~、水臭い...久々にお前に会えるから、俺は嬉しいくらいだよ...』
風間と少し話して電話を切った。
翔には、検査の事は伏せていたいんだ。
風間に相談して良かった、
俺は心からそう思ってた。