第26章 未来への地図
【 雅紀side 】
翔に言われるまでもなく、一回診てもらおうとは思っていた。
乾いた感じの咳が、長引いていたし、咳をすると胸が痛むようになった。
これはもしかして、単なる風邪と違うんじゃないか?
そんな気がしていた。
午前中、病院の内科を受診した。
「相葉~、どうした?咳?」
「あ、うん...ちょっと...」
三宅先生は、俺に聴診器を当てた。
じっと胸の音を聞く。
......
「じゃ、背中も診せて...」
......
「どう?」
「...うん...レントゲン撮ってこようか?」
「悪いの?俺...」
すると三宅先生は人懐っこいいつもの笑顔で、
「一応撮るのは当たり前だろ~?優秀なナースの相葉くん♪」
まあ、そうなんだけど...
自分のこととなるとね。
俺は言われるままにレントゲン室へ。
「あれ~?珍しいなぁ~...いつも元気な相葉くんが...」
「俺だってたまには具合悪くなることもあるんだよ~!」
こっちの病院に来て直ぐ仲良くなったのが、レントゲン技師の横山。
「忙し過ぎなんやないの~?働き過ぎやって!」
揶揄い口調だけど、彼なりに心配してくれてるみたいだ。
「そんなことないって!今日は休みだし...」
「櫻井とは?相変わらず仲良しなんやな♪」
「なんだよ、それ...」
「だってほら、背中に...」
「えっ?」
横山が指摘した肩甲骨の下あたりに、
もう茶色に変色した小さな痕が...
あ.....
「ええな~!俺もそんな痕付けてくれる人欲しいわ~」
「何言ってんだよ~?ナースにモテモテなのに、一人に決めない横山くんが~!」
検査室を出る時、
「相葉!...よく検査してもらった方がええぞ!」
と言われた。