第25章 Happy Honeymoon❤
その時、雅紀はぽつりと言った。
「翔...俺ずっと、翔の事見守ってるからね...」
「フフフッ、何急にマジな顔...」
照れくささもあって、ちょっと茶化した俺に、雅紀は前を見たまま、
「ここ、教会...だよね?」
「雅紀...」
「俺はさ、本来ならば翔の隣にいる人間じゃない」
「ちょっと..」
「いいから、聞いて。
翔に子どもを産んであげることも出来ないし...俺といることで、後ろ指を指されることもあるだろう...
でも...俺は翔から離れることができない...
翔の親父さんやお袋さん...俺の親にも悪いことをしたのかもしれない...
それでも、たった一つだけ譲れないもの...それが翔...翔の存在なんだ。」
雅紀のポツリポツリと話す言葉が、俺の胸に染みていく。
「もしもね...」
雅紀の目が、真っ直ぐに俺に向けられた。
「もしも...俺が先に死んだら」
「やめて!!」
離れたところに居た老夫婦が、俺の声にこちらを見た。
「例えばの話だから...」
雅紀は、優しく微笑みながら俺を見つめている。
「もし俺が、翔を守れなくなったら...
翔は、どうか別の道を歩いて欲しい...違う人を見つけて、その人と幸せになって欲しい...
俺の事は、心のどこかに置いて、時々思い出してくれればそれでいいから」
「雅紀、いい加減にしないと怒るよ...」
そんな話聞きたくない...
雅紀が居なくなることなんか、もしもでも考えたくもない...
俺が怖い顔して睨んでると、
雅紀はすっと表情を崩した。
「そんな顔しないでよ...例えば、の話。
俺はずっと翔の側を離れないから!
嫌だっていってもね...」
雅紀の見慣れた温っかい笑顔が、歪んでいく...
俺の涙で...