第25章 Happy Honeymoon❤
「どんな人間だって、必ず死ぬだろう~?
王様にも家来にも、平等に与えられるのが、『死』だよね?
誰にも訪れるその瞬間を、どんなことをしても逃げることはできない...
それが50年後かも知れないし、明日かも知れない...
分からないから平等なんだと思う。」
雅紀が話す言葉が...
俺の胸に響いていく...
「だからこそ、今っていうこのに瞬間を、大切に生きなきゃいけないんだよね...
翔...」
雅紀がじっと俺を見つめた。
「俺が居なくなったら...別の人と別の人生を歩いて欲しい...
翔が一人でいるなんて思ったら、俺、死んでも死にきれないもん...心配で死んでなんかいられない...」
「...だったら死ななきゃいいんだよ!
何があっても、ずっと俺の側にいてくれなきゃ~...
雅紀がいなくなったら、俺淋しくて生きてけないよ~?」
「...ふふふっ、そうだね...」
どちらからともなく、ゆっくりと近付き、
そっと唇を重ねた。
人が見てるかも知れないとか、そんなのこの瞬間の俺達には関係なかった。
合わせただけの唇は、温かくて、今がリアルなんだと教えてくれていた。
......雅紀。
俺も同じだよ。
『俺がもし先に逝ったら...雅紀もどうか、俺のことは忘れて欲しい...』
淋しいけど...いつまでも泣いてないで、前を向いて歩いて欲しい...
...心から、そう思うよ。
ステンドグラスからの、色とりどりの光が、
優しく幻想的に俺たちに届く...
唇を重ねただけの俺たちは、
その場から、いつまでも動けずにいた。
さっきまで堂内に響いていたパイプオルガンの音色は、いつしか消えて、
音のない二人だけの世界がそこにあった。
...愛してるよ、雅紀。
ずっといよう...
何があっても、離れることなんて、ないんだから...
ないん...だから...