第25章 Happy Honeymoon❤
【 翔side 】
ずっと来たかったんだ...
ナチュラルギャラリー。
値段が付かないくらいの超貴重な絵画がひしめき合っているこの館内で、俺は好きなのは、ルーベンスの画...
何でこれが好きかって~?
実は昔、テレビの再放送でやってたアニメで『フランダースの犬』っていうのがあって...
そこに出てきた少年が大好きで、天に召される間際に見ていたのが、このルーベンスの画なんだ。
そのアニメを観て、号泣したのを、今でも覚えてるよ。
でも、その話は雅紀に内緒!
だってさ、恥ずかしいじゃん///
「あ、翔!この人ってさ、フランダースの犬のネロが尊敬してた画家だよね~?」
「え?う、うん...」
「俺さ~、あれ見て大泣きしたんだね~...もう、大号泣!
そのネロがさ..ずっと見たかったのが、教会にあった、この..」
「雅紀!!」
俺はもう嬉しくなって雅紀に抱き付いちゃった。
だってさ~...
同じなんだもん///
小さい頃に見て、感動して泣いたものが、全く同じなんて...もう運命感じてしまう。
価値観ってよく言うよね~?
『価値観の違い』っていう、ざっくりとした理由が、離婚の一番の理由とか。
だったら、俺と雅紀...
同じだよね~?価値観。
「雅紀、俺達ずっと上手くいくよね~!」
「何?どうしたの?急に..」
訳んが分かんないって顔してるけど...
俺は雅紀に抱き付いたまま、そっと耳元で、
「雅紀、愛してる...」
と囁いた。
「な、な、なんで?何が??」
耳まで真っ赤にして狼狽える雅紀の手を引いて、俺は次の部屋に向かった。
近くにいたカップルが、ヒュ~っと口笛を吹いたから、警備員に睨まれていた。