第25章 Happy Honeymoon❤
「実はね、1月の頭にワシントンで学会があって、そこに行くんだ...大学病院は止めてからだから、まだ先だし...」
そんな言い訳みたいなこといいのに...
「雅紀には、ちゃんと決まってから言うつもりだったから...ごめん...」
「いいって。俺こそ、なんか、ごめん...」
自己嫌悪で項垂れる俺に、翔は小声で、
「この後、二人で抜けちゃお~っか?」
悪戯っ子みたいに綺麗なウインクをしてそう言った。
「でも...」
「いなくても、誰もなんも言わないって~、ねっ❤」
翔は俺の手を取って歩き出した。
......まあ、みんなに今日で会えない訳でもないし。すっかり出来上がってて、俺がいなくても平気かな?
幹事をしてくれた同僚の仲間には、月曜にお礼をすればいいかな...
俺は、翔の手をしっかりと握り直した。
翔と来たのは、ラーメン屋だった。
「翔、全然飲んでないじゃん!いいの~?飲みに行かなくて?」
「いいって!実は明日1番で手術だしさ。もともと、酒はそんなに飲むつもりなかったんだ」
そうなんだね...俺のために、時間作ってくれたんだ。
「忙しいのに、ごめんね...」
「また~///直ぐに雅紀は謝るんだから~!
無理なときは無理っていうから、そんな顔すんなよ~」
「うん...」
俺達はその後、目黒川沿いをぶらぶら歩いた。
木々に着けられたLEDが、眩いばかりの光の波を作っていた。
「綺麗だね...」
「ね!...初めて来たね...」
暫くの間、黙ったまま肩を並べて歩いた。
一緒に歩く...
それだけで、幸せで、満たされた気持ちになる。
当たり前に思っていた時間が、今はこんなに愛おしい。
「雅紀、ワシントン、雅紀も一緒に行くんだよ」
不意に、そんなこと言うから、俺は驚いて立ち止まった。