第24章 一緒に生きるということ
「...らって...らびだが..とばんだいんらもん...」
注:だって涙が止まんないんだもん..
そんな俺に翔は腹を抱えて笑った。
......全く..
俺はこんなに感動してるのにさ。
「これから、ちょっと行きたいとこがあるんだよ~
だから、それまでには泣き止んでよ!」
行きたいところ??
どこだろ?
『へっ??』って顔した俺に、翔は、
「もし今日、親父たちに認めて貰ったら、一緒に行きたいって思って予約してたんだ...いいよね?」
「いい...けど...」
そんな、ダメな訳ないけどさ...
どこに行こうっていうの?
翔の運転する車は、首都高に乗り横浜を目指した。
「どこ、行くの?」
俺の質問に翔は、
「そのうちに分かるよ♪」
と教えてくれなかった。
休日の午後、首都高は割と空いていて、
車は目的地のみなとみらいに着いた。
「船...乗ろうよ」
「船...って...」
「行こ❤」
車を降りて、大きな白い船を見上げる俺の手を取って、大股で歩き出した。
「翔!手...」
「いいの~♪ほら、こっち~!」
船は、今から乗船する家族連れや団体客なんかで混雑していた。
その脇の細い入り口に翔は行って、手続きをする。
すると、あっという間に待合室に通された。
そこには、明らかに恋人同士と分かるカップルと老夫婦の二組がいた。
「...翔、これって?」
戸惑う俺の手を引いて空いているソファーに座らせ、
「今日は特別な日だから、ちょっと奮発したんだ」
「特別な日...」
「そう!俺たちの未来に向けての新しい一歩だろう?だからね…」
翔はそう笑って、『でしょ?』みたいに首を傾げた。