第4章 もがき苦しむ中で
帰りの車の中で、母親が理由を聞いたけど、
言えるわけない...
俺は黙っていた。
父親はその話を聞き、さぞ、怒るだろうと、
覚悟していたのに、
翔父「...そうか...
まあ、男だから、喧嘩の1つもするだろう。
でも、翔。怪我をさせたのはやっぱりよくないな...
明日、一緒に謝りに行こう」
翔「......」
俺が黙っていると、
翔父「相手が、どんなに嫌なことを言っても、
手を出したら、負けだ...
怪我をさせたことは、しっかり謝罪しないといけない
...分かるな?」
父親の言っていることは、至極正当なことで、
俺は何も言い返せなかった。
そして、俺から、サッカーを取り上げた、
俺のことを何もわかってない親父...
と思っていたから...
この時、正直戸惑った。
この人を見返してやりたい一心で、
がむしゃらにやってきた自分。
その怒りの矛先の、思わぬ一面と、
人間らしさと父親らしさを、見てしまった気がした。
翔「...ごめんなさい...」
俺は、素直にそう言った。
親の前で、そんな姿を見せるのは、
何年ぶりな気がした。
その夜、思いがけない来客があった。
雅紀くんだった。
翔「どうしたの?LINEに返信くれなかったし...
上がってよ!!元気だった?」
雅紀「うん...ごめんね..じゃあ、お邪魔しま~す」
俺は、雅紀くんを自分の部屋に連れて行った。
翔母「まあ、雅紀くん、久しぶり~
翔、後で、ジュース取りにおいで...」
翔「うん...」
俺は、雅紀くんが母親の大きくなったお腹に、
驚いているのが分かって、
ちょっと、恥ずかしかった。