第24章 一緒に生きるということ
【 翔side 】
見つめた親父の目は、うっすらと涙が浮かんでいた。
その表情は、俺が知ってる親父とは違って、何だか急に年を取ったような気がして...
ほんの少し悲しかった。
「翔...お前と雅紀くんのことは、そういう事なんだろうと、分かっていたよ。
私は立場上、LGBTについて、学会にも何度も参加し、理解しているつもりでいる。
息子のお前がそうなるとは正直思っていなかったが、私は、二人を否定するつもりは全くないよ。」
「父さん..」
親父は、少し微笑んで静かに続けた。
「雅紀くんの人となりは、翔ほどではないにしても、分かっているつもりだ。人間としても、素晴らしいと思っている。
だから、翔が好きになるのも無理はない。
私も雅紀くんのことは好きだよ...あ、勿論、人として...だけどな...」
そう笑った親父...隣の雅紀は慌てて涙を拭った。
「雅紀くんの看護師としてもの手腕は、これからじっくり見させてもらうよ。
櫻井総合病院をよろしく頼むよ、雅紀くん!」
「おじさん!!俺...俺っ///...頑張ります!!翔くんを支えて、一生懸命に働きます!!」
「はははっ、頼もしいな...頼むぞ」
......何だか、力が抜けた。
朝から緊張して、肩に入っていた力が、一気に抜けてった気がして、俺は大きなため息をついた。
「...じょうじゃん...あだが...」
俺は慌てて雅紀に箱ティッシュを取ってきて渡した。
......親父は、俺が思ってるよりも、
もっとでっかくて、器の広い人間だった...