第24章 一緒に生きるということ

「親父も分かっていると思うけど、雅紀は優秀なナースで、櫻井病院に絶対いて欲しい人材だよ」

「そ、そんなことは..」
焦る雅紀を目で制して俺は続ける。

「だから一緒に連れていく。
でも、本当はそれが理由じゃない。」

「......」

表情を変えない親父の視線に負けないように俺は腹に力を入れた。

「雅紀は、俺の生涯のパートナーなんだ。
雅紀は男だ。でも、俺は雅紀を愛している。

雅紀と一生一緒に歩いていきたい、そう思っているんだ...親父や母さんや修が何といっても、これだけは譲れない...

雅紀が隣にいない俺は、もう考えられない...

親父とお袋のように、雅紀と...彼と二人で支え合って生きていきたい...

例え、どんなに反対されたとしても、俺の気持ちは変わらない...変わることはない...

...父さん。雅紀とのこと、認めて欲しいです。」


上手く言えたか分からない。
ずっと前から考えていたこと、半分も言えなかった気がする...でも、気持ちは込めたつもりだ。

すると、親父が何か言う前に、隣の雅紀が身を乗り出した。

「俺じゃダメなのは分かっています。
男の俺が、翔くんの隣にいていい筈ないって。

認められる訳、ないって。

でも。
それでも、俺、翔くんの側にいたいんです。

ダメなのも、許されないのも十分分かっているけど...でも、翔くんと離れるなんて出来ない...

翔くんは..」

「雅紀くん」

どんどん熱くなる雅紀を、親父が一言で制した。

「あ、すみません..俺...」

親父はじっと俺と雅紀を見つめてから、静かに息を吐いた。