第23章 命の重さ~second~
田村さんの言葉の真意が分からずに、黙り込む俺に、田村さんは、
「彼は翔先生の掛け替えのない人...でしょ?」
「...はい、そうです...」
「太郎と一緒だ(^^♪」
そう言って、田村さんは悪戯っぽくウインクした。
「彼に言っときます。太郎と同じだ...って。きっと喜ぶと思いますよ」
「ハハハハッ、よろしく言ってください...」
「はい...また、連れてきますよ」
その夜。
俺は田村さんからの伝言を、雅紀に伝えた。
「そっか~...田村さん、そんなに元気になったんだ...よかったね、翔...」
「うん、雅紀のお蔭だよ(^^)
あ、そう言えば田村さん、雅紀のこと『翔先生の掛け替えのない人でしょ?』って...そう言ってたんだ...」
「へえ~...で?なんて答えたの?」
「...『そうです』って...」
「え~?ダメじゃん!ナースに大人気の翔先生に、可笑しな噂が立っちゃうよ~?」
食器を洗いながら、笑う雅紀の後ろから、その背中に抱き付いた。
「可笑しな噂ってなんだよ?俺別に、雅紀のこと、誰に知られても、構わないし...」
首筋に鼻をつけると、大好きな雅紀の匂いがした。
「いやいや...ダメでしょ?仕事に支障が出るって!世の中、理解ある人ばっかりじゃないんだから...」
「でも、俺は..」
雅紀はくるりと振り返ると、俺をじっと見つめながら、
「ダ~メ!俺の大事な翔先生は、ナースからモテモテでなくっちゃ(^^♪」
「なんで..」
「優越感に浸れないでしょ?
『言っとくけど、その人、もう俺んだからね~♪』っていう...」
「フフフッ...性格悪っ」
「そうだよ~...❤」
そう笑った雅紀は、俺をぎゅうと抱き寄せて、耳元で囁いた。
「今夜は、翔が欲しいな❤」
って...