第23章 命の重さ~second~
次の日から。
元気のなかった田村さんは、別人のように変わった。
担当のナースが、驚くのは当然だ。
「先生、どんな魔法を使ったんですか~?食事もほとんど残していたのに...今日も完食でした!」
「そうですか...それは良かった」
「あの調子なら、手術も受けられそうですね~」
「そうだね...」
看護師も本当に嬉しそうだ。
医師も...看護師も...
患者を支えるスタッフは、家族のように...もしかしたらそれと以上に、患者に寄り添い、快復を願っている。
そんなことを、改めて感じて、俺も嬉しかった。
「田村さ~ん...どうですか?」
いつもの回診に行くと、田村さんは、
「先生、もう良くなったんじゃないですかね~...とても調子が良くて...健康そのものです!」
そう笑う田村さんは顔色もよく、少し前、ベッドから動くのもやっとだった人とは思えないくらいに、本当に元気だった。
「このまま行けば、予定より早く手術が出来るかもしれないですね~」
「もう、手術なんかいらないくらいですよ~」
「それは困るな~。商売にならない...」
「ハハハハッ...」
田村さんの笑顔が、心から嬉しかった。
「太郎も、信じらないくらいに元気になったと、娘が驚いていました...」
「それは良かった」
「待っててくれるんですよ...私の帰りを...」
「太郎に負けないように頑張らなきゃね、田村さんも...」
「はい!...そうそう、相葉さんはお元気ですか?」
「えっ?あ、ああ、はい、元気ですよ...」
「翔先生の、大切な人なんですね?」
「えっ??」
「一目見て分かりました...素敵な人だ、流石翔先生だ...」
「......」