第23章 命の重さ~second~
「これでよし!翔、太郎はお利口だから上手くいくって!」
「う、うん...」
雅紀がいてくれてホントによかった...
俺じゃあ、こんな風にできる訳ない。
犬を連れてくるなんて約束、雅紀の協力がなければ、絶対に無理だった。
「雅紀...ホントにありがとう!雅紀って、ほんとに凄いよ!カッコいいし、尊敬する!!」
興奮気味の俺に、雅紀はケラケラと笑って、
「役に立てて、よかったよ(^^;さあ、早く行こうよ!田村さん、待ってるから、急ごう...」
と言った。
「じゃあ、行こう...30分で戻らないといけないから...」
休みなのに白衣を着た雅紀が、洗濯ケースを押して、病院内に入る。
俺はその後ろに着いて歩いた。
科の違う俺たちが一緒に居るのはおかしいので、
俺は少し離れて雅紀の後から着いていく。
ドキドキする。
雅紀がケースを押して歩くことは不思議じゃないから、中を見られない限り大丈夫なはずなんだけど。
エレべーターに乗って、廊下を歩いて、
病院内を歩く...
犯罪を犯している訳でもないのに、
変な汗が背中を伝わった。
前を歩く雅紀は、どうなのか、
背中からは分からない。
ただ俺には、堂々としていて本当に頼もしく感じた。
そして、俺たちはそのまま田村さんの個室に滑り込んだ。
もたもたしていると怪しまれるし、その階に雅紀がいるのも不自然なので...
この時間なら、看護師は呼ばないと来ないはずだ。
「田村さん...約束通りに連れてきましたよ...」
「本当に..本当に連れてこれたのか?」
身を乗り出す田村さんの前で、雅紀が洗濯ケースのファスナーを開けた。