第23章 命の重さ~second~
夜。
一仕事終えたベッドの上。寝落ちしそうな雅紀に、
「あのさ~...病院内に犬って、連れ込めるかな~」
俺は田村さんの約束のことを切り出してみた。
『ダメに決まってるじゃん!!』
そう一笑されるかも...そう思っていた俺に、
「なんで?犬を連れ込みたいの?翔先生は」
流石は俺のよき理解者だよね~、
まずは理由を聞いてくれる...雅紀のそんな気持ちが嬉しくて、有り難かった。
「実はさ~...」
俺は昼間の田村さんとのやり取りを雅紀に話した。
「...無理だよな~、やっぱり..」
「だけど、約束しちゃったんでしょ~?」
「...そうだけど...」
雅紀は身体を起こして、俺の方を向いた。
「犬は?小さいの~?」
「いや、柴だって言ってた...」
「柴犬かあ~...まあまあ、大きいよね?」
「う~ん......」
雅紀は腕組みをして真剣に考えてる。
「雅紀...無理ならさ...ダメだったって謝って...」
「そうだ!!」
「えっ??」
「俺が、洗濯物を入れるケースに太郎を入れて病室まで連れてくるよ!そっからは翔が変わって?」
「でも、見つかったら...」
「大丈夫!上手くやるから!きっと太郎に会えれば、また元気になりたいって...頑張らなきゃ...って。田村さんそう思うよ!」
...雅紀の言う通りだった。
健康な身体を取り戻したいっていう気力が、今の田村さんには無くなっていて...
でも、愛犬に会ったら、気持ちが変わってくるかもしれない...
危険な橋を渡る価値はあるはずだ。
「雅紀...大丈夫?」
「翔、俺を信じて!」
...田村さんのことも知らないのに、こんな風に親身になって、一生懸命考えてくれる雅紀...
ほんと、お前って凄いよ...