第22章 命の重さ
「新しいマジック見てくれない~?」
なかなか帰ってこない翔に、俺が少しそわそわし始めたから、かずが気を使ってトランプを出した。
「いくよ~...見ててね...」
「お~すげえ!!」
「マジシャンみたいだね~」
「じゃあ、今度はね~...」
翔を待つ俺たちは、かずのお蔭で、暫くの間、時間が経つのを忘れていられた。
そして、9時を少し回った頃...
鍵の開く音がして、玄関のドアが開いた。
「ただいま!遅くなってごめん!!」
「翔!!早かったね~ラインの返信、さっきじゃん!」
「うん...タクシーに乗っちゃった」
俺が彼の鞄を受け取りリビングに入っていく。
「「お帰り、翔」」
智とかずが仲良く翔のこと、迎えてくれた。
「ホントごめん!遅くなって!!待ってってくれなくて、良かったのに...」
「いえいえ、主役だもの、翔が...
さあ、温め直して食べよっか!」
『翔!国家試験合格、そして、就職おめでとう!!』
「ありがと~」
ビールで乾杯をして、俺たちはやっと、少し遅めの晩御飯の食べ始めた。
「あ~、ハンバーグ旨っ”!智、腕上げたね~❤」
「ホントに?よかったぁ~❤」
やたらとハート❤の乱用をする彼らに、
俺と翔は黙って顔を見合わせた。
「あのさ~...智たちって、いつから付き合ってるの~?」
おっと!!翔は回りくどくしないで、超直球だ。
「えっ?」
ちょっと赤くなるかずに、
「それ、聞くんだ...」
と、何だか言いたそうに見える智...
ふたりの対照的な様子が、何だか新鮮だった。
「告ったの、どっち~?」
......翔の直球ど真ん中が冴え渡る。
俺は二人の顔を見ながら、答えを待った。