第22章 命の重さ
......でも俺は気づいた。
母親の背中が小刻みに震えていたこと...
苦労も心配もかけたと思う。
神経をすり減らしたことも、何度もあっただろう。それでも、そんな素振りは見せないで、いつも同じ笑顔だった。
.....母は、強い人だ。
表には出さないけど、芯が強くて、いつもいつも、大きな愛で、俺と修を包んでくれてる。
ありがとう...と、
背中から抱き締める訳にもいかないけど。
「母さん、後で肩揉んでやろうか?鍼灸師の先生に習ったから、俺、上手だよ..」
「ほんとぉ〜?じゃあ、お願いしちゃおっかなぁ」
......こんなに小さかったのかな?
久しぶりに触れる母親の背中は、
びっくりするくらい小さく感じて、俺はちょっと泣きそうになった。
「上手だよ~...翔。まさか、翔に肩揉んでもらう日が来るなんてね~...」
「こんなんで良かったら、何時でもやるよ...」
すると母親は、
「そうはいかないでしょ?今は仕事が何より一番大事なんだもん...母さんのことなんか、思い出す暇があったら、そっちに...でしょ?」
「そんなこと...」
「ただいま~!!お腹空いたよ~...あ..」
そこに修が帰ってきた。
「おかえり、修」
「兄さん...来てたの?」
修は11歳、小学校6年生になっていた。
小さくて、可愛かった修は、声も変わり始めて、背もいつの間にか母親くらいになっていた。
「もう直ぐ夕ご飯になるから...」
母親がキッチンに行ってしまうと、俺は修と久々に二人きりになった。
「兄さん、就職おめでとう..」
「ああ、ありがと...修も...頑張ってるか?」
って...なんか俺、おっさんみたいじゃね??