第22章 命の重さ
着替えて、真新しい白衣に袖を通した。
今まで使っていたものでいいって、そう言ったのに、雅紀が、
「気持ちも新たにスタートして欲しいから」
とか言って。
わざわざ、新調したんだ。
パリパリ過ぎで、逆に恥ずかしいっつ~の...
苦笑いしながら、胸にプレートを付けた。
『循環器内科 櫻井 翔』
...気持ちが引き締まる。
頑張ろう...
ホントにそう思った。
雅紀が何度も言ってたけど、
ここからがスタートだから...
鏡に写る自分の姿を確認して、
気持ちを引き締めた俺は、循環器内科の外来に向かった。
「おはようございます」
出来るだけ普通にと思って挨拶したのに、
やっぱ、気合が入ってたのかな?
予想以上に大きな声だったらしく、
準備をしていたナースたちに笑われた。
...やべっ...赤くなる俺に師長が近付いてきた。
「櫻井先生、早いですね~...みんな、先生がいらっしゃるのを楽しみに待っていたんですよ!今日から、よろしくお願いしますね!」
「はい!!よろしくお願いします!!」
あっ、また大きな声過ぎた(*ノωノ)
パソコンに向かい、予約の患者のカルテに目を通していると、助教授の坂本ドクターがやってきた。
「櫻井くん、よろしくね...」
笑顔で肩を叩かれ、俺は立ち上がって挨拶した。
「まあ、そんなに硬くならなくてもいいよ...
じゃあ、早速今日の分の打ち合わせをしようか?」
坂本先生は、冠動脈ハイブリッド治療の第一人者で、この若さで、次期教授候補のトップにいる人だ。
彼から学びたくて、この科を選んだといっても過言ではないほど、尊敬してるんだ。
「はい、ご指導お願いいたします」
俺は坂本先生の後について、診察室に入っていった。
......新しい一歩を踏み出した。