第22章 命の重さ
【 翔side 】
「いってらっしゃい、翔...いよいよだね...」
俺の初出勤だからと、
雅紀はエレベーターホールまで見送りに出てきた。
「大袈裟だなぁ、いいってば〜」
照れもあって、素直にありがとうと言えない。
今日は夜勤だから眠ててもいいのに、
俺の初出勤についてきて、しかも、
ウルウルしてる雅紀...
親かよっ///ってツッコみたいけど、
そう言う俺も、実は嬉しくない訳ない...
↑二重否定は肯定です。
「頑張ってね!」
「うん...」
「翔なら、大丈夫だよ!」
「うん...」
「何かあったら電話して!」
「...ハイハイ...」
「翔~///」
泣きながら抱きついてくるから、
俺は慌てて辺りを見渡し、防犯カメラをチェックした。
......コンシェルジュに見られてるかもしれないけど...まあ、いっか~(^^;
俺は彼の背中を何度か撫でて、
「心配してくれてありがとね...」
そう言って彼をさりげなく離した。
流石にね、人がいないって言っても、
ここ、一応お外だしさ。
「ぐすっ..翔...カッコいいよ...ぐすっ..
...どっから見ても、立派なお医者さんだよ...
..ぐすっ...俺の自慢だから...」
鼻をすすっている雅紀が、ホントに可愛い。
名残惜しい気もあるけど、
もう行かないと...初日から遅刻なんて訳に行かないしね...
「夕方は、実家に顔出してくるよ...雅紀も夜勤でいないし...」
「そうだね...お母さんもきっと、翔の晴れ姿、見たいよね」
...晴れ姿ってさ...(^^;
「じゃ、行ってくるね」
「いってらっしゃい...ぐすっ」
↑まだ泣いてる...
俺は見送る雅紀を置いて、病院に向かった。