第4章 もがき苦しむ中で
クラスの中には、
勉強にしか興味がなさそうな、
そんな奴等ばかりでもなく、
周りを見回したとき、
目が合ったやつが俺に笑いかけて来て、
...なんだよ、お前...
そう思った俺に、そいつは馴れ馴れしく、
話しかけてきた。
斗真「ねえ、君、櫻井翔、でしょ?
全国模試でトップだったよね?この前...」
翔「さあ~...忘れた...」
斗真「カッケ~♪...俺さ、生田斗真、
仲良くしようぜ...」
笑うそいつの目を喉きこむと、
グリーンの目をしていた。
俺がじっと見ていると、
斗真「あ~、これ?これは、カラコン。
普通のコンタクトと、変わんないよ~」
翔「...ふ~ん...」
俺が、中学に入って初めてできた友達...
友達と言えるのか、分かんないけど、
『生田斗真』は緑の瞳の、代議士の息子だった。
なんとなく、俺と同じ匂いがした。
馴れ馴れしく俺に肩を組んでおしゃべりしている彼の話に、適当な相槌を打ちながら、
そのまま、公立の中学に行った、
カズくんや、智くん、潤くんと、雅紀くんのことを、思い出していた。
私立を受験するって言ったら、
「頑張って!翔くんなら絶対大丈夫だよ!」
って笑ってくれたカズくん。
「でも、離れちゃうのは寂しいな~」
そう言ってくれた智くん。
「中学違っても、たまには会おうね」
笑顔で握手してくれた潤くん。
「どこにいても、僕は翔くんの味方だよ」
そう笑った雅紀くんの笑顔...
楽しかった子どもの頃のこと、
目を閉じて思い出していた...
泣いてばっかりいた、保育園のことも...
もう、戻れない...
素直で、無邪気だったあの頃...