第4章 もがき苦しむ中で
これが親が敷いたレールと言うのなら、
俺は、それにしっかりと乗って、
優秀な子どもを演じていたんだと思う。
その方が楽だから...
はむかって、逆らって、
戦うエネルギーが、このときの俺には、
正直無駄に思えた。
そんな時、
俺にとって、衝撃ともいえる出来事があった。
この年で、兄弟ができることになった。
小学生の時は、兄弟がいる友達が羨ましかった。
自分にも兄弟が居たらよかったのにって、
そう思って、母親に言ったりもした...
でも、それも、次第に諦め、忘れていた。
そんなある日、
翔母「翔、実は、あなたに兄弟が
生まれることになって...
翔が、勉強で大変な時に、騒がしくなって、
申し訳ないんだけど...」
翔「...えっ?ほんとに?」
...この年になれば、子どもがどうしてできるのか、
知っていた。
神様がプレゼントしてくれる訳でも、
コウノトリが運んでくるわけじゃないことも、
ちゃんと知っていた...
思春期に差し掛かった多感な時期...
自分の親が、男と女だったんだって、
結果として見せられたような気がして、
どう言っていいのか、分からなかった。
子どもができたことを、
少し恥ずかしそうにに報告する母も、
女だったんだって、そう思うと...
何とも言えない気持ちになり、
素直に喜べなかった...
今更...っていう気がしていたんだ。
難しい顔して新聞読んでる父親も、
ちゃんとやることやってんじゃん...
それが、正直その時に思ったことだった。