第21章 旅立ち 〜departure〜
何だお前!!
って顔してお兄さんは俺を睨んだ。
言葉はない...
でも火花がバチバチっていう感じで...
俺たちは睨みあっていた。
数秒の睨みあいの末、お兄さんが目を反らせた。
勝った!!よしっ///
心の中で拳を突き上げてガッツポーズをした俺。
「雅紀~...何やってんの~?
鼻の穴...膨らんでるよ?変な雅紀...」
そう可愛く笑う翔...
チラッと振り返ると、もの欲しそうに見ているお兄さんと目が合った。
全くさ。
危機感なさすぎなんだよね...
洗い場で頭と体を洗って、大きなジャグジーに並んで入った。
直ぐ近くにある黄金風呂に人がいなくなるのを待ってるんだ。流石にさ、並んでるのも、何か間抜けだし...
「あの風呂さ、うちの風呂くらいじゃね?」
「だよね~...二人で入ったら、いっぱいじゃん...」
確かに...
男二人でって、どうなんだよ?
でも折角だから入りたいし...
「雅紀!空いたよ♪行こう!」
俺たちは連れ立って、高い縁を大股広げて跨ぎ、
金の風呂の中に入った。
お湯が、ものすごい勢いで零れた。
......流石にね。
翔の脚の間に入り込むわけにもいかないし...(^^;
向かい合ってお湯に浸かる。
ちょっと話していると、何だか何人もが並んじゃって...風呂がある、透明な部屋の周りには大勢の人...
さっきのお兄さんもいた。
「何かさ、俺たち見世物じゃん...」
「...だよな~...出るに出にくい...」
小声で話す俺たち二人に、無言のプレッシャーが...
目を見合わせて合図し、俺たちは逃げるみたいに黄金風呂を後にした。
隣の純銀風呂も...
と思ってたけど、止めておいた。
俺たちは次に、露天風呂に行った。