第21章 旅立ち 〜departure〜
【雅紀side】
その日は朝から雨降りで、
ここ数日は『この日のために生きてきた』
といっても過言ではないくらいに
楽しみにしてた、のに...
「あ〜あ、雨かぁ...」
「なぁ〜に、この世の終わりみたいな溜め息ついてるんだよ〜...ほら、準備するよ!」
翔に促されて、俺は渋々立ち上がった。
翔と行くこの小旅行を、
俺がどれだけ楽しみにしてたか....
翔には分かってないよ〜('ε'*)
仕事を始めてからは、
やっぱり忙しくて、休みも合わなくて、
ふたりで旅行になんて、
絶対に無理だと思ってたのに...
やろうと思えば、無理をすれば、
時間なんて簡単に作れたんだ!
そのことに気付いたことも、
俺にとっては収穫だった。
日常を離れて、思い切り楽しみたい♪
....なのに、出鼻を挫く、雨...(-_-;)
準備も終わって...といっても、小さな鞄一つだけど。
恨めし気に窓の外を見ていると、
「雅紀、出掛けるよ~」と翔が言った。
「そんな大きい鞄...何入ってるの~?」
呆れる俺に、翔はしれっと、
「着替えとか、いろいろ...雅紀こそ、そんなちょっとで大丈夫なのかよ~?」
......いやいや。普通こんなもんだよ...
一週間の出張ゃないんだからさ(^^;
翔が運転する車の助手席に乗った。
勿論翔の車。
「さ、準備はいいですか?」
そう俺の目を覗き込むように小首を傾げる翔...
......ったく///どんだけラブリーなんだよ///
雨の中。
俺たち二人を乗せた車は、一路房総半島へ向かった。