第20章 卒業~Graduation~
【 翔side 】
雅紀の卒業式が終わった頃かな?
講義が終わって、図書館に来た俺は腕時計を見た。
でも今日は謝恩会に流れて、二次会にも顔を出すようなこと言ってたから、遅いだろう。
俺も今日は調べ物をしたくて大学の図書館に来ていた。
テーブルの端に陣取り本や資料を開きながら、
パソコンを睨んでいた。
いつしか、楽しんでいるであろう雅紀のことも忘れて、調べ物に没頭していた。
気が付いたら、夜の8時近くになり、そろそろ終了時間だった。
「やばい、やばい..」
慌てて片付けていると、後ろから声を掛けて来た人がいた。
「頑張ってるね~、翔くん」
「お~、遠藤じゃん」
実習や臨床の授業が多くなったせいで、
クラスの仲間とも顔を合わせないことが多くなっていた。
「早く図書館出ようよ」
俺たちは急いで荷物をまとめた。
「翔くん、この後、どうするの~?」
遠藤が屈託なく聞いてきた。
少し前の俺なら、用事があるとか、待ち合わせしてるとか言って、遠藤の誘いは断っていただろう。
でも、あれから時間も経ったし、
遠藤には彼氏ができて、幸せそうにやってるって知ってたから、
「どっか、飯でも行く~?」
そう誘ってみた。
ファミレスくらいならいいかな~...って。
実際、雅紀も帰ってこないから、淋しかったし...
俺は遠藤と二人で街に繰り出した。
「翔くん!私行きたいお店があるんだ~♪」
「俺は、いいけど...彼氏、いいの~?」
気を使った俺に遠藤は、
「...うん...平気///」
って笑った。
遠藤が行きたいって言ったのは、
恵比寿にある完全個室の居酒屋だった。
......こんな、個室って...
ダメじゃないかな~...