第3章 変わっていくということ ~僕は、ぼくなのに~
そう言ってママの顔を見ると、
凄く悲しそうな顔をしていた...
...ママごめん...
ママにそんな顔させたくないから、
サッカー止めたのに...
好きなことをやらして貰えないイライラを、
ママにぶつけたって仕方ないのに...
潤「翔くん、サッカー出ておいでよ...
コーチが、パパに話してくれるってよ~」
翔「いいんだ、もう...サッカー楽しくないし...」
潤「翔くん...そんなのうそだろ?
あんなに大好きだったのに...
そんな急に、嫌いになったなんて///」
翔「いいって、言ってるじゃん!!
もう...僕のことは、ほっといてよ!」
潤くんの顔を見たら、涙が零れそうで、
僕は、僕のために泣いてくれた潤くんが、
ほんとはすごく嬉しかった...
嬉しかったのに...
腕を握っていた潤くんの手を振りほどいて、
潤くんから走って離れた...
一緒にパスの練習したり、
コーチに怒られて泣いたり、
どっちがリフティングたくさんできるか、
競争したり...
...楽しかったのに...
もう、そこには、
戻れない...
僕はそのまま、塾に行った。
その帰り道、
商店街を歩いていると、
前から歩いてきた子に、
「翔くん?」
と、声を掛けられた。
顔を上げると、雅紀くんだった。
雅紀「翔くん!久しぶり!
今、塾の帰り?」
翔「...うん、そう...雅紀くんは?」
雅紀「お母さんにお使い、頼まれちゃって...
ほら、これっ...」
雅紀くんが上に上げたレジ袋には、
お醤油かな?それとマヨネーズが入っていた。
雅紀「少し話す時間ある~?
久しぶりだからさ...急いでるなら、いいんだけど」
雅紀くんの笑顔が、
その時の僕の胸に、じんわり温かくて、
翔「うん、少しだけね...」
......僕も、雅紀くんと話したかったのかもしれない。