第19章 君を守るために
【 雅紀side 】
あんなにワクワクしてた、一緒の実習。
俺の人には言えないような、心の狭さのせいで、最悪の気分になっている。
スーパーナースを目指す俺が、
こんなことで、躓くとは....
自分でも思ってもみなかった。
誰にも話せないよ.....こんなの(T0T)
夜、先に帰ったのは俺の方で、
今夜は豚カツにしようと、肉とキャベツを買って帰ってきた。
自己嫌悪のイライラをぶつけるように肉を叩いて、衣をつけていると、翔が帰ってきた。
「ただいまぁ〜...雅紀!」
「あ、おかえり〜...」
「......」
俺の顔を黙って覗き混む翔。
「なっ、何だよ〜....」
焦って目を反らすと、肉に集中する俺。
すると翔は、しばらく俺の横顔を見ていたけど、俺も何でか、意地になっちゃって...
翔と視線を合わせず、豚カツ作りに専念してた。後で思うと、バカみたいだけど....
「俺さ、先に風呂入ってきてもいい?」
翔の方から、そう言って俺から離れたから、
「おう、もちろん!ゆっくり入って来てよ」
そう送り出した。
一瞬、臥せてた目を上げると、少し笑ったような顔の翔が、鞄を担いで、出てくとこだった。
.......なんで、笑ってんだよ〜(´・ω・`)
余裕の翔の前で、俺は完璧なる敗者そのものだった。
ちくしょう〜('ε'*)
なんか俺、世界一カッコ悪いわぁ〜///
もやもやする気持ちのままに、
俺は油の鍋をIHに乗せ、170度で、余熱した。
風呂場から、シャワーの音に混じって、
翔の鼻歌が聞こえてきた。
それはなぜか、SMAPの『世界にひとつだけの花』だった。