第17章 医学の道、その2歩目
夕方、駅で解散になった。
「里美ちゃ~ん...」
俺は友達といる彼女に声を掛けた。
翔には、帰りに里美ちゃんに話をすると言うと、
「分かった、先に帰ってるね」
と、特に何も言ってはこなかった。
俺が声を掛けると、彼女は決心したみたいな神妙な顔をしていた。
「この後行きますか?良かったら、ご飯でも...」
里美ちゃんも友達と別れて、
俺たちは、学校から割と近いイタリアンのレストランに入った。
隣と間隔があいているので、個室ではないが、
気を使わなくても話しやすいからそこをチョイスした。
「何食べますか~?お腹すいちゃった..私」
里美ちゃんは、妙に元気で、
俺も、彼女に合わせてパスタを注文した。
まあ、いきなり、っていうのも何だから、
俺たちは今回の合宿のことについて話した。
「緊張してるの、すご~い分かったよ~」
ニコニコしながら里美ちゃんは言った。
「みんな凄いよね~...里美ちゃん、全然緊張しないの~?」
「そんなことないよ..いつもドキドキするけど...本気の失敗なら、子どもたちを笑顔にする演出になるんだって...先輩に、そう教わってからは、大丈夫になった...かなぁ~..」
「本気の失敗ね~...そうか...」
パスタを頬張る里美ちゃんは、
こうやって改めてみると可愛い顔をしている...
笑うと無くなっちゃう目は、よく表情が変わって可愛いし、色白で、頬にできるエクボもチャーミングだった。
男なら、こういう子...好きなんだよな..きっと。
「私の顔に、何か付いてます~?
...もう...そんなに見ないでよ...期待しちゃうじゃん...」
「えっ...?」
俺は思わずフォークが止まった。