第17章 医学の道、その2歩目
温かい拍手をもらって、俺も心がふんわり温かくなるみたいだった。
偽善じゃなく、驕りでもなく、
親元を離れて暮らす子供たちのために、
ほんの少しでも笑いを届けられたんだとしたなら。
翔に誘ってもらって入ったこのサークルで、
俺は本当にいろんなことを学んだ気がする。
まだ、始まったばっかりだけどね...
「雅紀...生まれてくるとき、俺たちは親を選べない...親もまたしかりだ。
でもね...俺聞いたことあるんだぁ~、どっかで。
子どもって、親を幸せにする仕事を持って生まれてくるんだって!」
「幸せにする仕事か...?素敵な言葉だね...」
「ね~?...だからさ、いつか、あの子たちも、
その役割を果たせる日が来るって、俺はそう信じたいんだ...」
......翔...
君は、あの子たちに...自分を重ねてるのかな...?
翔は言わないけど、俺はそう思っていた。
...俺も、親のこと、幸せにできてるのかな?
バスの中。
そんなこと思ってる俺の気持ち、翔に伝わったんだろうね~...
翔は、こっそり俺の手をぎゅっと握ってくれた。
その力強さに、何だかいろんな思いがこみあげてきて、泣きそうになった...
こうしてサークルに参加しての初めての活動は終わろうとしている。
帰りのバスの中、俺の肩に凭れて無防備に眠る翔...
口開けて、可愛い顔して寝てる♪
俺はそっと、里美ちゃんにLINEで、
『この後、少し時間貰ってもいい?』と送った。
『分かりました』
後ろの方に座っていて顔は見えないけど、
直ぐに返事が来た。
ちゃんとしなきゃ...
傷つけてしまうかもしれない...
でも、しっかり気持ちを伝えよう...
そう思っていた。