第3章 変わっていくということ ~僕は、ぼくなのに~
パパは、おじいさまが亡くなった後、
病院の院長先生になった。
しばらくは今までと同じように、
忙しそうにしてて、家に帰ってこない日も
何日もあったけど、
僕が4年生になる頃には、
家に早く帰ってくるようになり、
僕の勉強とか、僕の学校のことにも、
口を出すことが多くなった。
習い事をやめたことは、
ママから聞いても何も言わなかったけど、
僕がサッカーに夢中なのを知ると、
そのことを、あんまりよく思っていないようだった。
翔父「また今日もサッカーか?」
僕が日曜日、ユニフォームを着て、
リビングをうろうろしていると、
パパは、そう声を掛けてきた。
「うん...パパも、今度試合観に来てね」
僕がそう言うと、
「...そうだな...」
そう言って、また新聞を読みはじめた...
僕は、何か言われないうちに、
逃げるようにリビングを出た。
小さい頃から、
パパは忙しくて家にいない人、
という印象しかない僕にとって、
毎日、
当たり前のようにそこにいるパパが、
正直違和感で、
戸惑いしかなかった。
保育園の頃は、パパと遊びたかった。
動物園とか、遊園地にも行きたかったし、
映画にも連れてって欲しかった。
でも、動物園に行く約束をした朝も、
出掛ける直前に病院から呼び出しがあり、
パパは、患者さんのところに、
行ってしまった。
翔父「今度は絶対行こうな!」
そう言って急いで出ていくパパの背中を、
何度見送ったことか...
そのうちに、パパに何か期待するという、
そんな気持ちは、自然と無くなっていったんだ。