第17章 医学の道、その2歩目
翌日は、朝からバスで移動して松本市内の児童福祉施設に行くことになっていた。
この日のために出し物も練習してきた。
翔と一緒にバスに乗ろうとすると、
「相葉くん...」
里美ちゃんが俺を呼び留めた。
一瞬翔と目を見合わせたが、翔は直ぐに気を使って、
「俺先に乗ってるよ...」
と行ってしまった。
俺は、ドアの反対側に里美ちゃんを連れていった。
「..おはよ..ごめんね..」
俺の方から声を掛けなければいけなかったのに、申し訳ないことをしちゃったな...
「里美ちゃん...あの..」
「相葉くん、昨日のことだけど...私は真剣だよ。でも、答えはこの旅行中は止めて。
私、酔った勢いであんなこと言っちゃったけど、後悔してないよ..
でもね、返事、今言われて落ち込んだら、ドキンちゃんできないもん!」
「里美ちゃん...」
「そういうことだから!じゃあ、今日は、頑張ろうね♪」
彼女は、そう言ってにっこりすると、
俺の横をすり抜けてバスに乗ってしまった。
しばらくぼんやりしてると、
他のみんながどんどんやってきたから、俺も急いでバスに乗り込んだ。
翔の隣に座ると、翔は、
「今日は頑張ろうぜ~!しょくぱんまん!!」
って、ウインクした。
......聞かないんだね...
今は、彼のその気遣いもありがたかった。
...告白するのも勇気いるけど、
断るのも、凄く気が重い...
真っすぐ自分を好きだと言ってくれる子に、はっきり伝えるのは、なんだか胸が苦しい...
でも、誠実に伝えよう。
バスは、やや二日酔い気味のメンバーも乗せ、
1時間ほどで本日の訪問先に到着した。