第17章 医学の道、その2歩目
バスの中で、ソフトクリームをシェアして食べ、途中眠くなって二人で凭れあって仮眠し、
バスは長野県安曇野市に到着した。
始めの訪問先は『県立こども病院』
赤い三角屋根が連なった外観は可愛らしいが、
最先端の医療で県内の重症患者を集める大きな病院だった。
そこは、翔の大学の卒業生も多い関係で、
毎年訪問していた。
その中の、いくつかある病棟の中の一つに、
俺たちのグループはお邪魔した。
予定通り20名弱の子どもの前で、
ハンドベルの演奏と、歌を歌い、触れ合うことになった。
子どもたちは一見元気そうに見える子でも、
皆普通の総合病院では対応できないような、
難病の子ばかりなので、時間も10分と限られた。
その中の一人の女の子。
名前はあやちゃんといった。
ずっと俺の膝に座っていたけど、帰り際、
「雅紀お兄ちゃん、また来てくれる~?」
俺を覗き込むキラキラした瞳に、
「もちろん来るよ!あやちゃんが元気になったとこ、絶対見に来るから、それまで頑張ってね!!」
「うん..約束♪」
俺は、あやちゃんと指切りをした。
すると、あやちゃんがふんわり、抱きついてきた。
その背中が、見た目以上に骨ばっていることに、
俺は少なからずも衝撃を受けた。
そんな俺たちのことを、翔は黙って見つめていた。
10分なんてあっという間で...
帰り際、病棟の看護師さんに、
あやちゃんは余命3ヶ月なのだと聞かされた。
そして、そのことを本人も感づいているのだと...
.........嘘だろ...
言葉が見つからなかった...
あんなに可愛い子が、もうすぐこの世からいなくなるなんて///
神様は、何をしてるんだろう///
残酷すぎる現実を目の当たりにして、
俺は心が苦しくなった。