第3章 変わっていくということ ~僕は、ぼくなのに~
みんなに好きって言われてしまった。
僕が、分かんないのに...
みんなは、簡単に、
僕のことが1番好きって、そう言うけど...
......よく分かんない...
でもいいや!!
好きだって、そう言ってもらえるのは、
嫌いだって言われるより、
100倍嬉しいもん!!
きっと、いつか、僕にも、
『誰かを好き』って思う気持ちが、
...ママより好きって思える人が、出来るもん!
それまでは、このままでいいや...
今のままで...
僕も潤くんの後に付いて、
走って行こうと思ったその時、
コーチが僕のことを呼びに来た。
家から電話があって、
......おじいさまが、倒れた...って...
おじいさまとは同じ家ではないけど、
隣に住んでいたから、
僕は時々、サッカーの相手をしてもらうこともあった。
パパが忙しいのは、自分のせいだから、
翔の相手は、自分がする...
って。
そう言って、遊んでくれたり、
釣りに連れてってくれたりした。
......そのおじいさまが、
元気だったおじいさまが、
倒れた。
僕は、聞いた瞬間、
頭の中が真っ白になって、
何も考えられなくなった。
夏ももう直ぐ終わるだろう、
っていう、
朝晩はやっと涼しくなって、
ホントに良かった、ってママが言ってた...
そんな日の夕方、
おじいさまが亡くなった...
いつも僕にやさしくしてくれた...
翔は勉強頑張って、パパみたいな、
立派な医者になりなさい...
って...
そう言って、大きな手で頭を撫でてくれた...
...優しかった、おじいさまが、
この世から、いなくなった......