第16章 医学の道も一歩から
自信に満ち溢れたような翔とは対照的に、泣き出しそうなのは、俺の方だった。
俺が守ってあげなきゃ!
って。
あいつ等はもちろん、世間とか、好奇の目とか、翔を苦しめる全てのものから。
俺が絶対守るんだって。
そんな風に思っていた。
でも、翔は強くなっていたんだ。
俺のお陰なんていうけど、そうじゃないよ///
目の前で微笑む恋人が、
何だかすごく眩しくて、俺は泣きそうな訳で....
「.....雅紀..ありがと。
つーか、何で雅紀が泣くんだよ〜...」
「だって、翔が....笑ってるから..」
ズズッ//←鼻をすすってます..
翔が俺の肩を抱いて歩きだした。
なんかさ、いつの間にか巣立っていた息子に気付いた気分....子離れ出来てなかったのは親の方だった..みたいな。
そんな気分だよ、翔....
そんな俺の親心、翔は分かっているのか、
肩をポンポンと優しく叩いてくれていた。
本当の意味で。
翔は忌まわしい過去を乗り越えたんだ。
「雅紀...今日は俺が抱いてもいい?」
感動してたのに、急に耳元でそんなこと言うからさ。俺は驚いて翔の顔を見た。
すると翔は、悪戯っぽい目をして、
俺のこと見ていた。
「え〜っ、嫌..あっ、嫌じゃない//あの、
...いい、けど...でも」
「やった!決まりね(^-^)
....雅紀、優しくするからね♪」
再び鼓膜に届けられた翔の低音の囁き。
.....なんだ、これ?
俺は身体の芯が、急に熱くなるのを感じていた。そして、そんな自分が不思議だった。
抱かれたくて、熱くなるなんて。
自分がそんな身体になってることに。
.....嬉しいような、そうでない、ような...