第15章 You’re my sunshine
電車は直ぐに渋谷に着いて、
俺たちは本屋を目指して歩き出した。
人混みの中を歩くのは、なかなか大変で。
ともすれば、翔から離れてしまいそうになって、
俺は、小走りになる。
すると翔が、すっと左手を出してきて俺の手を握った。
えっ?....こんなとこで...
俺は、焦って、
「翔...誰かに見られるよ..」
と小声で言ったんだけど、翔は全く動じない。
「翔ってば///」
すると彼は、
「別に、見られてもいいし♪つーか、誰も見てねぇから、平気だよ...」
......でもさ...(|| ゜Д゜)
俺たちはずっとそのまま、渋谷の町を手を繋いで歩いた。
翔の言った通り、肩がぶつかりそうな距離ですれ違う人たちは、誰も俺たちのことなんか気にしてなかった。
こんな人前で、翔に手を引かれて歩くことが、
何だか嬉しくて、
ずーっとこうして歩いていたいと思った。
まるで、他の景色がモノクロで、俺たちが手を繋いで歩いてるそこだけが、鮮やかな色を持ってるような...
そんな気がして、嬉しくて...
俺は繋いだ手に、力を込めた。
すると翔は、少しだけ振り向いて、俺の顔を見てふんわり笑った。
その笑顔は、小さい頃から変わってなくて...やっぱり天使よりも、天使だった...
そんな幸せな時間は、本屋について、人混みが切れたところで終わり、自然と離れた手に、寂しさを覚えたことは言うまでもなく。
「俺さ、医療関係の本見たいんだよ...雅紀も行く?」
「うん...行ってみようかな~」
俺は、翔について、書籍販売の階に行くために、
エレベーター乗り込んだ。
扉が閉まる直前、飛び込んできた男がいて、
その人は翔に気付くと、パッと顔を輝かせた。