第14章 すれ違う中で
そのまま、飲み会の席には戻らず、
逃げるように店を出た。
どうやって帰ったのか分からないけど、
マンションにへ帰りついていた。
ホントは、翔の顔を見るのが怖かった。
翔が何も話してくれなかったら、
俺……
普通に翔に接する自信、ないよ...
......あの後、どうしたんだろう..
翔は彼女になんて答えたんだろう..?
もう、頭の中がグチャグチャで、
すっかり酒も覚めてしまった俺は、
重い身体を引き摺るように風呂に行き、熱いシャワーを頭からかけた。
......翔が、あの子に惹かれたら、
俺はどうしたらいいんだろう?
シャワーを浴び、髪も乾かさずに、
リビングのソファーに座っていた。
どのくらいそうしていたんだろう...
玄関の鍵が開く音がして、翔が帰ってきた。
俺は慌てて、自分の部屋に逃げ込んだ。
そんなことしても、何にもならないのに...
......泣いてた顔を、見せたくなかった。
少しして、翔が俺の部屋のドアをノックしながら、
「雅紀~...ただいま...早かったんだね」
「うん。なんか、体調悪くてさ...」
苦し紛れの嘘は、逆効果だった。
「熱あるの?具合悪いって、どこが~?
入るよ...」
「あ...」
俺の顔を見るなり、
「雅紀、泣いてたの?なんで?...どうしたの?」
「なんで、も..ない...んだ..」
優しい翔の言葉に、もっと泣けて来て。
「何でもなくないだろ??」
「何でもないってば///」
!!!!!
翔が俺を抱き締めた。
翔の肩口から、
知らない香水の匂いがほんのりとした。
それがもう、溜まらなくて///
俺は彼の身体を力づくで押しのけて、
「そんな、知らない女の匂い付けたまま、俺に触んなよ///」
そう言った。