第14章 すれ違う中で
翌日、目を覚ますと、隣に雅紀はいなくて、
手を伸ばしてみると、雅紀が寝ていた辺りの布団はもう冷たかった。
ベッドを抜け出してリビングに行くと、
テーブルに朝食用のサンドイッチが置いてあり、ラップが掛かっていた。
その横にメモが一枚。
『先に行きます』
とだけあった。
俺は、雅紀の書いたそのメモを手に取り、じっと見つめたけど、そこからは、雅紀の感情は、全く伝わってこなかった。
それ以上考えても仕方ないので、
俺は着替えを済ませ、顔を洗って、
雅紀が用意しておいてくれた、サンドイッチを食べた。
俺の好きな、ハムとレタスのサンドイッチで、
とっても美味しかった。
夕べ帰ったら寝てて、
...まあ、俺が遅かったから仕方ないんだけど。
今朝は起きる前に出かけてて...
一緒に暮らしてるのに、
顔も合わさないことが、寂しかった。
家族なら、顔も見ない日が続いても、何とも思わなかったから、俺も雅紀と家族になってくためには、
......自分で、家族とか言っておいて、
ちょっと照れる( *´艸`)
まあ、こんなすれ違いにも慣れて行かなきゃいけないのかなぁ~...
俺はそんなことを思って、自分を納得させ、PCを開いた。提出用のレポートがまだできていなかったのだ。
大学生って言っても、医学部は他より数段忙しい。
まあ、後々、人の命を預かる現場に立つのだから、
遊んでばかりいられないのは当然だろう。
レポートが出来上がって、ぎりぎりだった俺は、
急いで荷物をもって部屋を出た。
急いでいたから、
部屋の隅にきちんと畳まれていた、自分の洗濯物の山にも気付かなかった。
...そう...俺が、
雅紀の気持ちに気付かなかったように...