第14章 すれ違う中で
【 翔side 】
クラスの仲間数人と
晩御飯を食べに行くことになって、
そのまま流れでカラオケに行き、
帰ってきたのはもう夜中の12時になっていた。
電話に出ない雅紀が気にはなったが、
もしかしたら、雅紀も俺と同じかも?
なんて、自分に都合よく考えて、
結局ズルズルと
友達との時間を楽しんでしまった。
雅紀は寝てるだろうから、起こさないようにそっとドアを開けて部屋に滑り込んだ。
夕飯はさすがに食べただろうから、
お土産にコンビニのプリンを買ってきた。
そっと寝室を覗くと、布団に入っている雅紀は眠っているらしかった。
起こしてまでプリンを食べさすこともないので、
俺はそのままそっとドアを閉めた。
何だか、雅紀に悪かったかな?
今日は実習初日だもの...疲れただろうし、
なんかやらかしてるかもしれないから、
話聞いて欲しかったのかもしれないし...
......俺は、自分のことばっかり考えていたことを、少し反省したけど、
一緒に暮らすときに、お互いの生活は尊重しあおう、って。そう言ったのは雅紀だし...
干渉し過ぎないように、
プライベートはしっかり守ろうって...
そこまで深く考えてなかった俺は、
雅紀の提案に、特に異論は唱えなかった。
俺は二つのプリンを一緒に食べようと冷蔵庫にしまい、風呂に入りに行った。
深夜1時。
雅紀を起こさないように、そっと反対側からベッドに入り込む。
向こうを向いている雅紀の寝顔は見えなかったけど、静かすぎる寝息に、小さく『おやすみ..』と言った。
まだ、一緒に居ることに慣れないからかな?
こんな風に、顔も合わさないで隣にいることが、
なんだか無性に寂しかった。