第14章 すれ違う中で
夕方。
初めての実習でくたくたになって、家に帰りついたけど、翔はまだ帰ってなかった。
夕飯作るのも何だか面倒で、どこかへ食べに行こうかと思って翔にラインしてみた。
『夕飯どうする?どっかで、一緒に食べる?』
......でも、
そのレスはなかなか来なくて、俺はついウトウトしてしまった。
目が覚めたら、もうすっかり夜になってて、
俺は慌ててカーテンを閉めて、部屋の明かりを付けた。
携帯を確認すると、翔から返信があって、
『クラスの友達たちと食べてくから、ごめんね』
と...
.........あの子も、いるのかな?
時計を見るともう9時近かった。
今から、何か買いに行く気にもならないし、
もちろん到底作る気もなく...
俺は疲れた身体を引き摺るように風呂場に向かった。
だから、
携帯が鳴っていたことにも、気付かなかったんだ。
翔が、俺のこと気にして、夕飯買って行こうか?って、そう聞こうとした電話だったんだ。
でも、シャワーを頭からかけていた俺には、
もちろん届かない...
ひとつ、小さな歯車が狂うだけで、
こんなにも変わってしまうんだ...
幸せすぎるって、そう思って迎えた一日の終わりが、こんな感じで終わろうとしてる...
もしかしたら、
俺が思っていたよりもずっと、
一緒に暮らすって、難しいのかもしれない...
彼のすべてを知りたい、なんて、
そんなの単なる驕りだったのかな...?
......携帯を確認することもしないで、
俺はそのままベッドに入った。
疲れて身体はくたくたなのに、何だか寝付けなかった。
何度も寝返りを打っていると、玄関のドアが開いた。
咄嗟に時計を見ると、深夜12時を過ぎていた。