第12章 新しいスタート
ふたりは子犬みたいに、暫くの間、
キスをしたり、ふざけ合ったりしていた。
すると、雅紀が急に、
「翔、ホントに凄いね、医学部...」
「そんなことないよ~...雅紀だって、頑張ったもんね、おんなじだよ〜」
.........
「雅紀、合格、おめでと」
「翔も、合格、おめでとう」
今度はチュッと、音だけの触れるか触れないかの優しいキスを交わし、俺たちはおでこを付けて笑い合った。
それだけで、何だか凄く、幸せだった。
夕飯は、デリバリーのピザにした。
ふたりでコーラを飲みながら、
ピザを頬張る...何ら東京に居るのと変わらないけど、『雅紀といる』ただそれだけで、満ち足りた気持ちになった。
ふと見ると、雅紀の口元にケチャップが付いていた。ちょっとした悪戯心から、それをペロッと舐めて見せた。
「えっ??..」
雅紀が、予想以上に真っ赤になるから、
俺もつられて、赤くなった。
「...雅紀...」
「..翔...俺、我慢してた...」
「...うん」
「...もう、しなくて、いい...」
「...うん...」
雅紀が、潤んだ目で、俺のこと見ながら、
「..翔...」って呼ぶ。
少し甘いその声は、もう少し艶っぽくて。
自分でも驚くくらいに、ドキドキした。
「...うん...」
「...シよ..?」
「...うん...じゃ、お風呂入ろっか..?」
俺は、雅紀と一緒に風呂に入ることにした。
よく考えたら、二人で風呂に入るのは初めてだ。
あの時は、修が一緒だったから...
そう思うと、余計緊張してきた。
そんな俺の横で、雅紀は何の躊躇いもなく
さっさと服を脱いだ。