第12章 新しいスタート
【 翔side 】
雅紀の受験の前日。
もうやるべきことはやったから、神社にお参りに行きたい、っていう雅紀と、湯島天神に来た。
確かにね...
後は神頼みくらいかな?
でも、雅紀は余程のことがなければ合格するだろう。
『俺、翔断ちする』とか言われたときは、
何のことかと思ったけど...
それも雅紀らしい...って、こっそり笑った。
その帰り道、偶然懐かしい顔にバッタリ会って、嬉しかった。受験勉強が本格的になってからは、会うことも無くなってたから。
「こっち、こっち~!」
ファミレスの入口でキョロキョロする二人を、手を振って呼んだ。
「お参りしてきたの?」
雅紀が聞くと、二人は俺たちと同じ御守を見せた。
聞けば、かずは調理師になるための専門学校、
智はデザイン系の学校を、それぞれ受験するらしい。
「智、昔から絵、上手かったもんね~」
「翔は、お医者さんか...そうだとは思ってたけど..流石だよね...俺も病気になったら、診てもらおう!」
「まだ、そんなの先の話だよ...」
するとかずも、
「雅紀も翔も、櫻井総合病院で働くの?」
と聞いてきた。
「まだ、分からないよ」
......
俺たちは暫く、いろんなことで盛り上がったけど、
雅紀の受験前なので、早めに切り上げた。
「雅紀!落ち着いてやれよ~」
「名前、ちゃんと書けよ!」
二人に激励されて、今日は別れた。
みんなそれぞれ、自分の未来に向かって、歩き出してるんだな~...そう思うと、不思議な気がした。
不安もあるけど、みんなが頑張ってるんだって、
そう思ったら、何だか力が湧いてきた気がする。
...頑張ろう..って、改めて思えた。